【完】一粒の雫がこぼれおちて。
「まさか、和泉くんに彼女がいるなんてねー。」
「……どういう意味ですか、それは。」
僕が目を細めて言えば、白鳥さんはしずくに抱き着いたまま慌てて弁解する。
「別に和泉くんがモテないって言ってるんじゃないよ? というか和泉くん綺麗だし、絶対モテるよね。」
「…………。」
「問題は性格。今日出会ったあたしでも分かるぐらい、和泉くん冷たいから。顔は良くても性格がダメで、彼女出来ないんだろうなーって思ってた。」
……それって、遠回しに僕を貶してる?
そんなことを言われて、あまりいい気はしない。
だけど。
「い、和泉くんは素敵な人です! 見た目も、性格も……。」
しずくがそう言ってくれたから、少しだけよかったかなって思う。