【完】一粒の雫がこぼれおちて。





「まさか、和泉くんに彼女がいるなんてねー。」


「……どういう意味ですか、それは。」



僕が目を細めて言えば、白鳥さんはしずくに抱き着いたまま慌てて弁解する。



「別に和泉くんがモテないって言ってるんじゃないよ? というか和泉くん綺麗だし、絶対モテるよね。」


「…………。」


「問題は性格。今日出会ったあたしでも分かるぐらい、和泉くん冷たいから。顔は良くても性格がダメで、彼女出来ないんだろうなーって思ってた。」



……それって、遠回しに僕を貶してる?


そんなことを言われて、あまりいい気はしない。



だけど。



「い、和泉くんは素敵な人です! 見た目も、性格も……。」



しずくがそう言ってくれたから、少しだけよかったかなって思う。





< 176 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop