【完】一粒の雫がこぼれおちて。
逃げていく白鳥先生と、それを追いかける白衣の先生。
ふと、〝病院では静かにしましょう。〟と書かれた貼紙を見た。
……大丈夫なの、この病院。
まだ驚きで固まってるしずくを無理矢理引きずって、やっと目的の場所に着く。
「ここ?」
「うん。」
〝倉橋充巴(くらはし みつとも)〟
扉の横のネームプレートには、そう書かれていた。
――コンコン
1度扉をノックする。
か細くて今にも消えそうな声だけど、確かに「どうぞ」と言う声が聞こえた。
「充巴さん、さっきぶりです。」
扉を開けて、声を掛ける。
窓の外を見ていた充巴さんは、僕の声に反応して、こちらへと振り向いた。