【完】一粒の雫がこぼれおちて。
少しだけコイツを見直す。
また僕の機嫌が良いときにでも、意味を教えてやるのも悪くない。
「……面白かった。」
午後の授業を全てサボり、やっと読み終えた本を閉じる。
と、その時。
肩にポスン……と、少しの重みを感じた。
「……まじかよ……。」
さっきコイツを見直すと言ったこと、あれは撤回する。
前言撤回だ。
「んぅー……いずみ、くん……。」
静かだと思っていたコイツは、いつからか眠っていたのだ。
「そりゃあ、静かなわけだ……。」
左半身に感じる、コイツの全体重。
思ったより全然軽くて助かったが、問題なのはこの体制から動けないということ。