【完】一粒の雫がこぼれおちて。
……でも、今なら分かってしまう。
僕はしずくじゃないから、完全に全てを理解することは出来ないけど。
親のいない、独りぼっちの寂しさを……感じることは出来る。
「……寂しかったよね。」
正直癪な話。
だけど心から思う。
「大地がおまえを、おまえが大地を愛してくれて……よかった。」
じゃなきゃ、〝今〟は無かったと思うから。
「ん……そら……?」
「あ、起きた?」
そのまま頭を撫で続けていれば、しずくが起きた。
僕を〝蒼空〟と呼んでは、眠そうに両目を軽く擦る。
「こんなところで寝ると、風邪引くよ。」
「大丈夫だよ。私には、蒼空の学ランがあるしね!」
いつかの日みたいに、僕の学ランを布団代わりにするしずく。