【完】一粒の雫がこぼれおちて。





相変わらず、文語を理解するのが苦手ならしい。



「月も、狼男に憧れていたんだ。」



狼男は、夜しか生きられない。


暗い暗い闇の中、たったひとり。


そんな狼男を見つけてくれたのは、空に輝く月だった。



月は何度も何度も、闇にいる狼男を照らそうとするけれど。


……本当に闇の中にいたのは月自身で。


月は、憧れていた。


前を向けば向くほど、晴天の空の下でも輝ける彼を。



狼男はそんな月の心境を知って、夜の世界から連れ出してしまう。



「おまえも前を向いて、好きなだけ輝けばいい。」


「ダメよ、私は月。暗い世界でしか輝けないわ。」



ちなみに、この本での僕のお気に入りの場面は、丁度このあとにある狼男の台詞のところ。





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