【完】一粒の雫がこぼれおちて。
確かに溺愛はしていたけど、両親は有名な大型会社に共働きで。
多くの時間を、美衣奈と過ごすことは出来なかった。
そのせいか、美衣奈は人一倍寂しがりやだった。
だけどプライドも高いから、俺と兄さん以外の人と長続きすることなんて無い。
あっても、美衣奈の財産目当てのどうしようもない輩だった。
もちろん、そんなバカには俺と兄さんからの手痛い罰があったけど。
……そんな感じで、俺たちは育って来たんだ、ずっと。
「……今日は泣いてないんだな。」
「なっ! 泣かないわよ!」
いつからか、美衣奈への想いは幼馴染以上のものになっていた。
無意識に目で美衣奈を追ってしまい、いつでもどんなときでも、真っ先に美衣奈のことを考えてしまう。