【完】一粒の雫がこぼれおちて。
僕の名前は和泉蒼空(いずみ そら)。
和泉家の長男坊として生まれて、早17年。
こう見えても、普通の高校2年生だ。
――ガチャ
「ただいま。」
外から帰宅して、家の扉を開く。
相変わらず中はシーンとしていて、僕にとってはそれが日常。
階段を上って、直ぐ隣の扉を開けば僕の部屋。
鞄は机の上に置いて、体はベッドへと放り投げた。
本当はシャツが皺になるから、寝転ぶ前に脱がないといけないんだけど。
どうも無気力で、今はそれさえもが面倒臭い。
あとからアイロン掛けすればいいか、と考えて。
体が求めるままに、僕はベッドへと身を沈めた。