【完】一粒の雫がこぼれおちて。





「言っとくけど、おまえの為じゃないからな。僕のせいで風邪を引いたって、あとから言われるのが嫌なだけだからな。」



脱いで隅に置いていた学ランを、倉橋の肩から下に掛ける。



もう1度言うけど、コイツの為じゃない。


未来の僕を守る為だ。



こんな状況じゃなきゃ、別にコイツが風邪を引こうが僕には関係無い。



「……ふん。」


断じて、関係無い。





――それから僕は、念のためともう1冊持って来ていた本を読んで時間を潰す。



途中、倉橋の携帯の馬鹿でかい着信音がずっと鳴るとか。


クラスメートの女子と遭遇して、この状況について散々言われるわ。


何も知らない教師、生徒には冷やかされるわ。





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