【完】一粒の雫がこぼれおちて。
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side 和泉蒼空
――……決して、アイツが心配になったからとかではない。
あのあと、僕は一直線に家へと帰った。
勿論、1度教室に戻って鞄を持ってから。
家に着いて、いつも以上の疲労に体をベッドへと埋めたとき。
僕は“そのこと”を思い出した。
「ああ! 伝言!!」
“大ちゃん”とやらに言われた伝言を、見事伝え忘れていたんだ。
いや、伝え忘れる出来事を起こしたのは間違いもなくアイツだが。
僕が伝え忘れたことに違いは無い。
それから数10分はいつも通りに過ごした。
別に1言2言、伝え忘れたぐらいで大事になるはずがない。
平気だ、と自分に言い聞かせて、20時までは過ごしたんだ。