【完】一粒の雫がこぼれおちて。
「くそっ……見苦しい……。」
これじゃあ、まるで……。
本当に倉橋が心配で、見に行くようなもんじゃないか……。
――……なんて思う内、20分なんて直ぐ。
目の前には3丁目に唯一ある、小さな本屋があった。
「…………。」
あれほど本屋に行くからと、自分に言い訳をしていたのに。
いざ本屋を目の前にしても、どうも入る気にならないなんて。
一体僕は何しに来たのさ……。
……帰ろう。
本はまだ今日の続きがあるから、買うつもりなんて無いし。
仮に!!
仮に、倉橋が心配でここまで来たとしても、3丁目のどこかなんて僕は知らない。
3丁目は広いし、来たところで会う確率なんて殆ど無い。