【完】一粒の雫がこぼれおちて。
本来の僕なら、道端で女がどんだけ泣こうが関係ない。
内心で馬鹿だと嘲笑いながら、あくまで他人のままその場を去っていく。
今日だって、今だって……。
「たすけて……たすけ、て……和泉、くん……っ。」
いつも通り、このまま無視して……。
「っ……!!」
「……あのさ、公衆目前で僕の名前、勝手に呼ばないでくれる?」
「ふぇ……いずみ……くん?」
何で、何で僕は……。
「何。僕がここにいたらいけないわけ?」
「ち、ちが……っ。」
こんな奴に話し掛けて……。
「隠れてコソコソ名前呼ぶとか、本当止めてくんない? ……どうせ呼ぶなら、素直に頼れば?」