【完】一粒の雫がこぼれおちて。
……ていうか。
「いい加減泣き止めば? 端から見れば、僕が泣かしたみたいじゃん。」
「あ、ご、ごめん……。」
「あと、そのまま家帰すのやっぱり後味悪いし。……僕の家行くけど、良い?」
僕がそう言って自転車に跨がれば、後ろに座っている倉橋がギュッと抱き着いて来る。
僕に友達なんて、いないも同然。
2人乗りをしたことがない僕にとって。
背中に感じる体温に違和感を感じて、そして何だか不思議な気分。
「うん……和泉くん家でいい……。」
「言っとくけど、落ちても知らないからね。」
「え!?」
まぁ、後ろに誰かを乗せるなんて、きっとコイツが最初で最後だろうけど。