【完】一粒の雫がこぼれおちて。





どこにもあるような、普通の一軒家。


私が住むボロいアパートとは大違いだけど、共通点が1つだけある。



「家、暗いね……。両親、共働き?」



真っ暗な部屋が私の家と重なって、少しだけ気分が落ちてしまう。


暗い場所は嫌い……昔を思い出すから。



「親いないから。」


「え……。いない、の……?」



駐車場にある1台の車は傷1つ無くて、まだ新しい。


使った形跡があんまり見れないから、つい最近買ったんだと思ったけど、車の上に乗った埃は相当の量で。


新しいんじゃなくて、使ってないだけなことが言われて分かった。



自転車をその横へと止めた和泉くんは、自転車の鍵を取って「いないよ。」と頷く。





< 50 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop