【完】一粒の雫がこぼれおちて。
どこにもあるような、普通の一軒家。
私が住むボロいアパートとは大違いだけど、共通点が1つだけある。
「家、暗いね……。両親、共働き?」
真っ暗な部屋が私の家と重なって、少しだけ気分が落ちてしまう。
暗い場所は嫌い……昔を思い出すから。
「親いないから。」
「え……。いない、の……?」
駐車場にある1台の車は傷1つ無くて、まだ新しい。
使った形跡があんまり見れないから、つい最近買ったんだと思ったけど、車の上に乗った埃は相当の量で。
新しいんじゃなくて、使ってないだけなことが言われて分かった。
自転車をその横へと止めた和泉くんは、自転車の鍵を取って「いないよ。」と頷く。