【完】一粒の雫がこぼれおちて。
僕は早くに準備を終わらせて、その様子を見ていた。
準備以外にしたことと言えば。
たまたま昨日倉橋の着ていた服が制服で。
倉橋が風呂に入ってる間に、アイロンで制服を伸ばしただけ。
アイロンがけなんて、洗い物に比べればほんの少しの時間で済む。
……てなわけで。
「遅刻したらアンタのせいだから。」
「っ……じゃあ走ってよおぉーっ!!」
「それは嫌。」
面倒臭いことはしたくない。
ただでさえ、歩くの面倒なのに。
「お願い……。」
……そう思ってたけど、コイツが目を潤ませて言うから……。
「……今日だけだから。ほら。」
「え……?」
「走るんでしょ? いいから、手貸して。」