【完】一粒の雫がこぼれおちて。
――「っ……着いた。」
「も、しぬ……! 足、痛い……。」
いつもなら徒歩10分の道のりが、たった3分で着いた。
門前に掲げられた時計を見れば8時34分。
あと1分でも遅れていたら、鬼と呼ばれる学年主任に無理矢理門を閉められていたな……。
そうなれば学校のインターホンを押して、門の隣にあるドアを開けてもらうか。
2メートルもある塀を越えて行くかの2択しか無い。
勿論前者のインターホンを選べば、あとから鬼の学年主任にみっちり絞られる。
……多分、倉橋はそれが嫌だったんだろうな。
コイツの身長じゃ、塀を越えるなんてとてもじゃないけど無理だろうし。
「でもよかった……説教長いし、怖いから……。」
ほらやっぱり。