【完】一粒の雫がこぼれおちて。
チラッと門の方を見れば、さっきまで解放されていた門が、今ではがっしり閉められている。
多分、今から職員室にでも戻るとこだったんだろう。
「怪しいな、おまえら……遅刻者か? 塀でも越えて来たんか? ん?」
あー……ウザい。
今日はちゃんと間に合ったし。
ていうか、何。
「もしかして先生、ちゃんと見てなかったの? 僕たちたった今、先生の前を通って来たのに。」
「和泉くん……?」
学年主任が現れておどおどしていた倉橋が、僕の言葉に首を傾げる。
「何が言いたい?」
「だからー……。」
ルールを守らない生徒には厳しく、自分の気が済むまで説教して。
ルールを守る生徒には目もくれない、存在にさえ気づかない。