【完】一粒の雫がこぼれおちて。
でも、だから何だと言う?
「僕はただ、道端で泣いてたコイツを慰めただけなんだけど?」
実際は慰めたんじゃなくて、自分の家に連れ帰ったんだけど。
倉橋からは何も聞いてないし、慰めたつもりも無い。
というか、倉橋は直ぐ寝たし。
本当のことを言えばまた煩くなるのが目に見えてるから、ここはあえて嘘をつかせてもらう。
「なんだ、慰めただけか。」
「そ、そういうことなら……。」
「でも何で泣いてたんだろうな?」
「慰めたって言ったけど、……和泉くんって本当は優しいのかな?」
僕の言葉に渋々納得し始めたクラスメート。
僕たちが抱き合ってたって話は終わって、次の話題に切り替わろうとしていた。