【完】一粒の雫がこぼれおちて。
side 倉橋しずく
和泉くんは優しい。
その考えは今でも変わってない、変わってないけど……。
『寝言は寝てから言ってくれる? こんなのと付き合ってるとか、噂立てられるのも迷惑。』
……和泉くんにそう言われたとき、胸が苦しかった。
和泉くんに“こんなの”って言われて。
自分が和泉くんの恋愛対象にならないことを知って。
……何故か、凄くショックだった。
「しずくちゃーん、また明日ねー!」
「あ、うん! バイバイ!」
クラスメートの相川里沙(あいかわ りさ)ちゃんが、手を振って教室を出て行った。
いつも私と仲良くしてくれる、裏表の無い優しい女の子。