【完】一粒の雫がこぼれおちて。
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side 和泉蒼空
アイツ、倉橋を僕の部屋に招き入れてから、数日が経った。
日常は変わらない。
僕はいつも通り、教室の隅や中庭で本を読んでいて。
倉橋は相変わらず、僕のストーカーのままだ。
「和泉くーん!」
まず、コイツにストーカーされるのが日常になっていることが。
何より悲しくて仕方ない。
「……何?」
「見てみて、これ! 昨日、和泉くんに合うなぁと思って買ったの!」
そう言った倉橋が差し出したのは、薄青と紺のストライプなブックカバー。
へぇ……倉橋にしては、いいものを選んだじゃん……。
「和泉くんにあげる! 私は本なんて、漫画ぐらいしか読まないし……。」