【完】一粒の雫がこぼれおちて。
この日もやっぱりそうで。
「げほっ! がっ……っ!」
遠慮の無い拳が私の体を襲って。
大ちゃんの太くて男らしい腕が、私の首を絞める。
「なのにしずくは、他の男を誘惑するんだって?」
「っちが!」
「……駄目だろ、しずく。そんなことしたら、オレ……。」
「お前のこと、殺したくなるだろ。」
ヒュッと。
絞められた喉の隙間から、酸素が吐き出された。
大ちゃんの手に力が更に加わって、意識が遠くなる。
…………苦しい。
「これでもさ、オレ。抑えてんだぜ? お前を殺さないように。」
大ちゃんが何か言ってる。
でも、薄れた意識の中では何を言ってるのか分からない。