おもわせぶりな彼。
ひとつめ。



規則的に揺れる電車にとまではがままにわたしの体は眠気を訴える。

窓から見える緑は、少し前までピンク色で世間を賑わしていた名残で。

いたずらに風に吹かれると、ピンク色がまだ舞ったりもする。

暮れてきた陽と、混んでくる車内。

あとふたつ数えればわたしの降りる駅がくる。

もうそろそろ、この満員御礼とまではいかない空間からも解放される。


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