おもわせぶりな彼。



ゆめの、卵焼きは私のせいじゃなく、ゆめの、技量で黒いんじゃないか。


そもそも、一昨日からずっと真っ黒の卵じゃないか。

「なんか、葵。いつにもまして、うざい。」

眉間に皺を寄せながら、低い声で唸りをあげる友人に一瞬怯みかける。

「……、いつもどおりじゃない?」

いやはや、あなたも十分ひどいけどね、なんて。

……言えないけれど。


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