bizarre love triangle
恵美の家は母子家庭であった。

母は父と三年前に離婚して、母が居酒屋で
働いて生活を支えていた。

夕方から深夜まで時には明け方迄母は
いなかったので、恵美は自然と料理を
覚えていった。

母とは仲が良かったので母子家庭で
あっても全く問題なく二人は明るく
暮らしていた。

浩は優衣に
『晩御飯は友達と食べるから
いらなくなった』とメールを打った。

恵美と食事をすると正直に打ったら
あとで揉めそうだったからだ。

マンションの二階の奥の部屋に浩は
通された。

「ここはやっぱり靴脱がないで入って
いいんでしょう」

「脱いでよ、外国じゃないんだから」

「外すの?入れ歯も?」

「どうぞ、ご自由に」

居間でソファに座ると、恵美は冷蔵庫
から冷えたコーラの缶を出して浩に
手渡した。

「これ、入ってるんでしょー、
睡眠薬的な薬剤が。豊富に」

「入ってないわよ。そんなことして
どうするのよ」

「俺のペースメーカーを外そうと
してるんでしょう?お見通しだよー」

「はい、はい」

恵美は廊下に出てから

「着替えるからちょっと待っててね」

「はーい」

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