bizarre love triangle
テレビとパソコンと机と家具があるの
は当たり前だが、本棚にある本の数が
目を引いた。

「大変だったでしょう、これだけ
集めるの?」

「小さい頃からの本も捨てないまま
だから、こんな数になっちゃった」

「本当に大変だったでしょう。

店員の目をごまかすのは」

「取ってない!」

恵美は本の背表紙を見て呟いた。

「お父さんとお母さんが離婚した時にも、
たくさんの本を読んで悩みを解決したの。

でも、今は本を読む時間がもったいないの。

私、両親が離婚してから今が一番幸せ
かもしれない。

お母さんは元気一杯にお仕事してるし、
私は習っていたピアノが役に立つ時が
来たし、何より彼氏が出来たことが
最高にうれしいの」

浩は恵美の目つきが学校にいる時と
明らかに違っていることに気が付くと、
後ずさりをして玄関へ走り出した。

「あ、あんまり遅く帰ると優衣に確実に
蹴り殺されるから、帰るね。

今日は本当にありがとう。

おいしかったです」
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