bizarre love triangle
しかし、今の優衣は感情が高ぶっていた
ので以前のように下の名前で浩を呼んで
しまった。

浩は優衣の感情など分かるわけがない
ので普通に苗字で呼んでいた。

「浩君、ちょっといい?」

「うん。ちょっとなら」

優衣は先に歩き、掃除の終わった理科
実験室の中を覗いて誰もいないことを
確認してから、中に入った。

窓際まで優衣は歩いてから振り向いた。

その目には大粒の涙が光っていた。

何かを言いたそうに一度口を開きかけて
は止めて、そしてようやく口を開くと
同時に涙がこぼれ出した。

そして目の前にいる浩の手を掴んだ。
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