愛しい君へ贈る詩
「キャー!」
「見てみて!蓮くんがユニフォームの裾で汗拭いたわよ」
「見たみた!あのお腹のチラ見せはヤバイ!」
「あの甘いフェイスに隠された腹筋!ギャップがヤバイよね~!」
「先輩!私たちにも見せて下さいよ!」
「あなた達1年生は、蓮くんと同じ学年なんだから、いつでも見れるでしょ?ここは先輩が優先よ!」
「そんなぁ~…」
結衣と同じ1年生部員は、先輩に逆らえず、お目当ての蓮くんを見ることが出来ずに、残念がっていた。
そんなことはお構いなしに、先輩たちは蓮くん話で盛り上がっていた。
「今年の1年生は当たりよね。蓮くんもそうだけど、藤本くんもカッコイイし、本当に美術部でよかった~」
「運動部の練習が見られる穴場スポットだものね」
「うちの学年にもあの2人みたいな子がいたら、目の保養になるのに~」
「言えてる!」
女の子達の話は盛り上がっていて、話が尽きることがないようであった。
毎日よく同じ会話を続けていられるな…と結衣は関心しながら、美術室から見える景色をスケッチしていた。
他の部員達は、美術部員であることを忘れているのか、会話に夢中で、誰もデッサンする姿は見られない。
これが当たり前の日常となっていた。