愛しい君へ贈る詩
(恭輔 side)
恭輔は部活を終え、帰宅した。
「あら、恭輔。今帰り?」
「…あぁ」
玄関に入ると、偶然あずみに出会し、声を掛けられたのであった。
一瞬、家を間違えたかと思ったが、そこまでボーッとしているハズはないし、あずみの彼氏が自分の兄だったことを思い出した。
同じ学校、ましてや隣に住んでいるにも関わらず、久し振りに会う幼馴染。
特に話すこともなく、恭輔はあずみの横を通り過ぎようとした。
しかし、あずみは違ったようで、すれ違う際に、恭輔の手首を掴んだ。
「何だよ…」
「恭輔に聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
「藍原結衣って知ってる?」
「………」
「否定しないってことは、知ってるんだ」
「だったら何だよ?」
「単刀直入に聞くけど、どう思ってるの?」
「どうって?」
恭輔は、あずみの質問の意図がわからず、不快感を露わにした。