男装ホスト★
「おい、ちんたらすんな。働け、ゆうき」
「…龍さんに一番言われたくないッスねそれ」
俺様はエントランスを偉そうに見回しながら、何もせずに仁王立ちしている。それが許されるのはこの店のNo.1だから。
たとえ若輩者であっても順位が良ければ、掃除やら雑務はなくなる。俺様は噂によると、入店一ヶ月ですべての雑務免除になったらしい。
…ほんと恐ろしい。
あたしは多少雑務免除されるようになったけど、完全ではない。そしてもっと驚くべきことにもう入店してから一年が過ぎようとしていた。
早すぎて驚いたものだ。
もう、一年。
…借金の返済は半分も済んでない。
一生あたしはヤツの借金によって縛られ続けるのか。それは嫌だ。断固として避けたい。
だったら、なおさら順位を上げてもっと稼ぐしか道はなかった。