男装ホスト★

ニコッといつもの人当たりの良さそうな顔で笑うとさゆりは、

「か、からかわないでよぉ~」


どバシバシ私の肩を叩いた。

自分のスペック考えろ!と言いたくなる威力で、私はその痛みをこらえて笑って誤魔化した。


"引き"と"押し"


いわゆるギャップ萌えってやつかもしれないけど、大切な技術だ。相手を自分の意のままに操りやすくするための。

意外にも、俺様も私と同様に色恋より友情路線が強いのに気がついて、接客の合間に見続けて学んだこと。



さゆりが悩む様子を見せ、ちらりと私の方を伺った。
それに気がつきながらも私はあえて何も反応しなかった。


ただニコニコとさゆりのしようとすることを見ている。
これが意外に効く。


相手の期待に応えようとして女性客は見栄を張る。

最初は罪悪感なんてものもあったけど、そんなもの当に消え失せていた。これが夜の街の魔力なのかもしれない。



「じゃあ~…さゆりぃシャンパンゴールド3本入れちゃいますっ!!」

「シャンパンゴールド!!入りましたー!!」





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