男装ホスト★
わけもわからず私はさっきまで黙っていた男に尋ねた。
―――俺の店。
それも身体を売らなければならない仕事なのだろうか。
「…俺の店って言うのは、あれだ。ホストクラブでな」
…ホストクラブ?
「俺はそこの代表をしている。そこで働いてみないか?」
「…私、女ですけど」
「そうなんだが、男としてもお前、いけると思う。人気が出れば手っ取り早く親父さんの借金も返せるし、おまけまでついてくるかもな」
うまくいけばの話だが、と男が釘を刺した。
…ホストクラブ。
想像の世界でしか知らない。きらびやかな街に嬌声をあげる男女。裏の世界。
でも。
「……やります」
あのくそったれ親父の借金を返せるなら。
「働かせて下さい」
それしか方法がないなら。
一生アイツの借金返済で人生を終わらすぐらいなら。
たとえ強引な賭けであったとしても。