男装ホスト★
「…わかりました。すぐに行きます」
なんとかそれだけ返事をするとゆうきはスーツのしわを正して、よしっと気合いを入れなおした。
これはもしかしなくても、絶好のチャンスだ。これを逃すなんてありえない。
「―――お待たせいたしました。ご指名ありがとうございます。ゆうきです」
スタッフに案内されてある一角に行くと、まさしく真野淳子と真野ミリアがいた。
お目にかかれる日がくるなんて。しかもこんなところで。
ゆうきが席に入るとヘルプのキャストが隣に退いた。
「って、あれ?」
思わず素の言葉が出た。
だって――――
「覚えてて下ったんですか!!嬉しい!!!」
ミリアがキャァと手を叩いて喜んだ。
そこにいたのはいつか暴漢にからまれているのを助けた親子だった。