光の少女Ⅲ【合成獣編】
2

「ちょ、一体何を・・・」


森から出ていこうとする[風夜]に、花音は慌てて声を上げる。


「・・・魔族は、実力主義でな。最下級、下級、中級、上級、最上級、・・・下位になれば、なるほど上位の者には逆らえない。・・・あいつは、それぞれの種族の繋ぎを強くするために、最下級の魔族を吸収させられたらしいが、俺には及ばない。・・・奴と交代する前に、少しだけ手伝ってやるよ」


そう言って、翼を広げると、止める間もなく出ていってしまう。

それに気付いたらしい男が、[風夜]に向かって、攻撃しようとする。

だがその前に、[風夜]が全身から魔力を放った次の瞬間、男の動きが止まったのがわかった。

動きを止めている男に向かって、[風夜]が接近したと思うと、すれ違いざまに何かを斬る。

それは男が着けていた首飾りで、それを拾い、花音達の所へ戻ってきた。


「さてと、これで、あいつはもう、属性のある技は使えない。どうする?」

「どうするって言われても・・・」

「それを壊した所で、消えた人達が戻ることはないだろうしな」

「なら、私が貰ってもいいかしら?」


困ったように返した水蓮と大樹に、神麗が言う。


「ちょっと調べてみたいの。でも、その前に・・・」


そう言って、[風夜]から受け取ったばかりの首飾りに付いていた珠を外し、花音に渡してきた。
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