光の少女Ⅲ【合成獣編】
「成る程な。そういうのもありか」
風夜と火焔が協力して、キメラを倒した時のことを話すと、夜天が呟いた。
「だが、水蓮達は力を奪われたんだろ?」
「・・・心配ないわ。この森に来てからの休息で、それなりに回復してるもの」
「まぁ、全快したわけではないから、そんなに乱発は出来ないけどな」
雷牙が視線を向け、水蓮と大樹がそう返す。
「ですが、協力すると言っても、今まで敵対していた私達のことを信じられます?また、裏切るかもしれないのに」
「そう、俺達はそいつ等とも違う。最初から敵だった俺達が協力すると・・・」
「姉上、兄上」
聖と影牙の言葉に、紫影が口を開いた。
「姉上も兄上も、もうわかったはずだ。あいつ等の本性が、どんな奴等なのか。・・・あいつ等は、俺達一族を利用していた。それに気付かず、他の一族から孤立してしまったのは、この一族だ。だが、一度見放されたからといって、このままでいいわけない。最初から諦めていたら、何も変わらないんだ」
「「・・・・・・」」
紫影の言葉に、聖と影牙が何かを考えるように黙る。紫影はそんな二人を見ながら、続けた。
「裏切ったのが俺達なら、行動を起こさなければならないのも、俺達なんだ。・・・一族の罪を償い、また他の一族と共存していく。それは、俺達一族の為でもあるんだ。違うか?」
そこまで言って、紫影が黙ったままの二人を見る。
悠長に話しているような状況でないのはわかっていたが、聖達にも協力してほしくて答えを待った。
「・・・わかった。とりあえず、今は協力する。これからのことを考えるのは、その後にするわ」
「姉上・・・」
「せ・・・」
聖の言葉に、紫影がほっとしたような表情をして、花音も嬉しそうに名を呼ぼうとする。
「それと!」
それを遮るように聖が声を上げ、彼女は花音を見た。
「・・・その名は、潜入するために使っていた仮の名。今となっては、もう不要な名前よ。・・・これからは、紫姫と呼んで」
「!!・・・うん!」
そう言われ、花音は頷く。
これからのことは後で考えると言っていたが、改めて本名を明かしたその言葉が答えのようにも感じた。