光の少女Ⅲ【合成獣編】
「・・・今、勝手に開いたよ」
「・・・僅かだけど、魔力を感じた。窮姫達はいなくても、何かしらの手は打ってあるみたいだな」
自動的に開いた扉を見て、風華が声を上げると、千歳が冷静にそう返した。
まるで花音達のことを中に招き入れているようにも見えたが、罠だとしても入るしかなかった。
全員が一度顔を見合わせて、頷き合う。
花音は気を引き締めるように深呼吸すると、城の中へと入る。
全員が入った所で、まるで見えているように城の扉が花音達の背後で閉まった。
城の中は、暗く静まり返っていて、人の気配もない。
花音達の行く手を遮るつもりもないのか、魔族の姿もキメラ達の姿もなかった。
「大臣がいるとしたら、やっぱり・・・」
「謁見の間だろうな」
空夜に返して、風夜が謁見の間へと続く通路を見る。
その先からは、何ともいえない重圧のようなものを感じた。
「・・・この気配、この先に魔族がいるな」
「ああ。それもかなり強い力を持った奴だ」
千歳と昴が言う。
「この先って、あるのは謁見の間だけだよ」
風華の言葉に、花音は風の城にいた時を思い出す。
その記憶の中でも、この先にあったのは謁見の間だけだ。
そうなると、気になったのは大臣とその強い力を持ったという魔族が同じ謁見の間にいるということだった。