光の少女Ⅲ【合成獣編】
(まさか、この術って・・・)
そう思っている間にも、膝を着いている風夜の横にもう一人の姿が浮かび上がり、その存在をはっきりさせていく。
そして、術が終わったのか光が収まった後、《風夜》は俯けていた顔を上げ、不機嫌そうに元大臣を見た。
「・・・俺を引きずり出して、一体何のつもりだ?」
「お前は魔族なのだろう?同志を助けて、何が悪い?」
「同志?」
「そうだ。あの四人も同志であるお前なら、受け入れてくれる。お前も、我等に協力しないか?」
元大臣が言った時、《風夜》が横にいる風夜と花音を見た気がした。
「・・・断る」
「・・・何?」
《風夜》の答えに、元大臣は眉を潜める。
「俺はお前達に協力しないと言ったんだ。・・・ずっとこいつの中にいて、感化されたのもあるかもしれないが、俺にもこの国への思い入れはある。・・・何より、あいつらのやり方は、同じ魔族である俺からしても気に食わない。それが理由だ」
「・・・協力しないというなら、神族の味方をすると?」
「それも違うな。俺だって、神族は気に入らない。それに近い力を持つ光の一族も。・・・ただ」
言いつつ、風夜を指す。
「そいつがいるのが、此方だからな。そいつと俺は、一心同体。だから、俺はそいつに力を貸しているだけだ」
そう答えた《風夜》に、元大臣から表情が消えた。