光の少女Ⅲ【合成獣編】
「・・・風の国の王位を継ぐなら、兄上がいる。それなら、俺は俺にしか出来ないことをするだけだ」
そう言った風夜の意思は固いようだった。
「本当にいいのね?」
「ああ」
「そう・・・、なら始めましょうか」
女性が言うと同時に、風夜の足下に魔方陣が敷かれる。
女性や周りにいた子孫達が手を翳すと、魔方陣が光りだし、その中にいた風夜が膝をついた。
「・・・っ!」
魔方陣から凄まじいエネルギーが立ち上ぼり、風夜の姿も見えなくなる。
「風兄様!?」
「一体、どうなってるんだ?」
「・・・あいつらの力が、もう一人の俺の中に流れ込んでいる。あいつの力が変化していくのがわかる」
風華と空夜に答えるように《風夜》が言う。
それを聞きながら、花音は立ち上ぼっている力を見る。
まだ風夜の姿は見えない。
それでも彼を包んでいる力は、魔族のものとは思えない、優しいもののように感じた。