光の少女Ⅲ【合成獣編】
「な、何っ?」
あっという間の出来事に、元大臣は声を上げる。
「ば、馬鹿な・・・!」
「どうした?あの空間を壊しただけで、随分動揺してるじゃないか?」
涼しい表情をして言った風夜を元大臣は一瞬睨み付けたが、すぐに表情を戻す。
「・・・ふ、ふん。ただ私の術を一つ破っただけで、いい気になるなよ。お前と一緒にいる奴等は、殆ど手負い。同属性であるお前達兄妹の力は、私に通用しない。魔族一人も、神族の二人も、私の力の方が強いのだから恐れることはない。・・・私の勝利は、変わらないのだ!」
自分にも言い聞かせるように言い、元大臣は魔力を巨大な球状のものにして放った。
「っ・・・!」
それを防ぐことも、ましてや傷付いた光輝達が避けられるとも思えず、花音は身を縮める。
だが、そんな彼女達の前に誰かが割って入ったかと思うと、そこから動かなくなる。
「・・・変わらない・・・、か。それはどうだろうな?」
「なっ・・・」
魔力の巨大な球を片手で止めていた風夜がそれを振り払う。
それと同時に、彼の背に黒い翼が生える。
その翼はもう一人の風夜の力を借りていた時よりも増えて、三対になっていた。