光の少女Ⅲ【合成獣編】

第5章 二人の風夜

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次の日になり、花音達は山の頂上でもある広い場所へ来ていた。


「さてと、じゃあ始めましょうか」


言って、沙羅が人形の紙を取り出すと風夜の足元に魔方陣が現れる。それと同時に、風夜の身体から何か黒いオーラのようなものが出てきて、沙羅の持つ人形へと流れていく。

少ししてオーラが止まると、人形は沙羅の手を離れ、次第に大きくなり、人の姿になっていく。

数秒後には、目の色以外は風夜にそっくりな少年が不機嫌そうに立っていた。


「・・・何のつもりだ?人をこんな風に外へ出して・・・」

「随分不機嫌ね。わざわざ聞かなくても、此方の目的はわかっているんでしょう」


沙羅に言われて、不機嫌そうなまま視線を移す。



「・・・ふん。そういうことか。お前達の狙いはわかった。だが」


風夜の姿を捉え、残虐な笑みを浮かべる。


「俺もそう簡単にやられてやるつもりはない。・・・逆に俺がお前を取り込んでやるよ!」


そう言うと、〈風夜〉は風夜に向かって地を蹴り、突っ込んできた。

迫ってくる〈風夜〉の一撃を避けた風夜が、幾つもの風の刃を放つ。


「あまい!」


それでも構わず、〈風夜〉はニヤリと笑ってその中に突っ込んだが、自分の眼前に迫った剣に気付き、後方へ跳ぶ。


「ちっ、数打てば当たるとばかりに、闇雲に撃ってきてるかと思えば・・・」

「目眩ましにはなっただろ」


そう返した風夜の剣先から、僅かにかすった時に切れたのだろう銀髪が数本地へ落ちる。


「・・・気にくわねぇ」


更に不機嫌そうに表情を歪めた〈風夜〉が魔力を拳に集めて、一気に風夜との距離を詰める。

思いきり振りかぶり殴りかかった拳は、手に風を纏わせた風夜に止められていた。
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