光の少女Ⅲ【合成獣編】
「おいっ、どうして俺を取り込まない?取り込ませない?・・・お前は、お前達は、あの男が造った化物を倒すために、俺の力を求めたんじゃなかったのか!?」
自分を庇い、必死で耐えている風夜に〈風夜〉が何処か悲痛な声で言う。
「でも、勝負は貴方の勝ちなのでしょう?貴方が、彼を取り込むと言っていたじゃない?」
「っ・・・」
沙羅がそう返した時、風夜の剣に皹が入ったのが見えた。
「ウオオオッ!」
「ぐううっ!・・・うわああぁ!」
R-07の加えてくる圧力に耐えられなくなったのか、剣が砕け、丸腰になった風夜が吹っ飛ばされた。
「どうするの?このまま、彼が死んだら貴方もどうなるかわからないわよ?」
「ふん。そんなことになる前に、私達に協力しろ。お前がいたという証に、その力を有効活用してやる」
沙羅と研究員の男の言葉に、〈風夜〉が拳を握り締める。
「俺はっ・・・」
「・・・消えるわけじゃないよ」
呟くように言った花音の声が聞こえたのか、〈風夜〉の視線が向けられるのがわかった。
「どちらかがどちらを取り込んだとしても、取り込まれた方が消えるわけじゃない。貴方達は、二人で一人なんだよ。片方が生きていれば、もう片方も存在し続ける」
「・・・だが、取り込まれた方は、何もない闇の中で過ごすんだ。俺はもう・・・」
「・・・それは、風夜が、今までの人達が、貴方達の存在を知らなかったから・・・、今ならもう其処に沈むことはないよ」
「・・・」
そこまで言うと、不意に〈風夜〉が視線を逸らせる。
その先には、身体を起こしている風夜がいて、二人の視線が合った。