光の少女Ⅲ【合成獣編】
「はっ・・・!」


いつものおっとりした雰囲気は何処にいったのか、短く鋭い声を上げて、神麗が光弾を放つ。


「!!」


それに気付いた男が、それまでのし掛かっていた風夜の上から退く。


「はぁっ!!」


追い打ちを掛けるように沙羅が、いつの間にか手にしていた槍を振る。

男が更に風夜から距離をおいたのを見て、花音は弓を構える。


(いくら姿を変えても、弱点は同じ筈・・・!)


そう思って光の矢を作り、そこに更に力をこめる。

それに気づいて、花音の方へと向かってこようとした男を拘束するように、何かが巻き付いたのがわかった。

「っ・・・!まさか、いきなりこんなっ、変則的な使い方をすることになるとは、なっ!」


神麗から折れた剣の代わりに渡された柄を握り締め、そこから魔力で作ったのだろう鎖を伸ばして、地面を踏みしめている風夜が言う。

花音の方に向かってこようとする男とそうはさせまいとする風夜、どちらもがかなりの力で引っ張りあっているのか、鎖が時折嫌な音を立てた。


「・・・ハナセェェ・・・!」

「くっ・・・!」


風夜が僅かに引き摺られるが、横から四本の腕が伸びて、風夜が持つ柄を掴んだ。


「僕達も手伝うよ!」

「こう見えても、力はあるんだからな!」


蒼牙と紅牙が言った時、今度は男に光弾と魔弾が続けて当たり、バランスを崩した。


「今だ!」


二つの弾を放ったらしい黄牙の横から朔耶が叫び、花音は弓を引き絞る。

放たれた矢は、男に向かって飛んでいく。

それに気付いた男が避けようとしたが、更に拘束が強まり、矢は男の胸へと突き刺さった。


「ソンナ・・・、コノワタシガ・・・、サイキョウノチカラヲテニイレタハズノ、ワタシガ・・・」


そう呟いて、男は動かなくなる。

それを見て、花音達はお互いに顔を見合わせると、ほっとしたように笑った。
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