光の少女Ⅲ【合成獣編】
「それで、これからあなた達はどうするの?」
花音が作ったクッキーがなくなる頃、沙羅が口を開く。
「あなた達がこの世界に来た目的は果たしたでしょう?すぐに向こうに帰るのかしら?」
沙羅の言葉に、花音達が異世界から来たことを知らなかった紅牙、蒼牙、黄牙、朔耶が目を丸くした。
「向こうに帰るって・・・?」
「俺達はこことは違う世界から来たんだよ。俺の中の魔族の血をどうにかするためにな。その目的を果たした以上、ここにいる訳にはいかない」
「えっ?どうして?」
「ここにいたって、いいじゃんか!」
風夜が言うと、紅牙と蒼牙がそう声を上げた。
「二人には、待っている人達がいるのよ。だから、ずっとここにはいられない。・・・それに、今、向こうの世界では、大きな厄介事が起きてるの。ここにずっといたら、気が気じゃないでしょう?」
「その厄介事って何なんだよ?」
宥めるように言った沙羅に更に言い返す紅牙に、溜め息をついて彼女が続ける。
「簡単に言ってしまえば、神族と魔族の戦いね。まぁ、元々は魔族の侵略行為だったんだけど・・・」
「だったら!余計、こっちにいればいいじゃんか!それが終わるまで、こっちにいれば!」
「そうだよ!そんな中、帰るなんて・・・」
「・・・紅牙、蒼牙」
黄牙に名を呼ばれ、二人が黙りこむ。
その時、それまで黙っていた神麗が口を開いた。