光の少女Ⅲ【合成獣編】
第2章 合成実験
1
少年が運んできた二人の幼い少年をベッドに寝かせる。そして、二人の容態を診ていた沙羅がふと動きを止めて、眉をしかめた。
「これは!!・・・朔耶、この子達は何処で?」
「街の北側の入り口に倒れてたんだ」
朔耶と呼ばれた少年がそう返す。
「・・・そう。間違いないわね」
「間違いないって、何が?」
「これを見て」
沙羅が二人の少年の首もとを指す。
花音と風夜がその部分を覗きこむと、そこには【O-16】と【R-17】と書かれたタグがついていた。
「これは?」
「・・・恐らく、この街の北にある研究所から逃げてきた子達ね。可哀想に。このタグがつけられているなら、もう実験に使われてしまった後なのね」
「実験?何の実験なんだ?」
「・・・合成実験・・・」
「えっ?」
「二つ以上の種族を掛け合わせて、別の種族を造りあげる。一人の研究者が始めた合成獣・・・キメラの実験よ。この二人は、その実験の被害者ね」
そこまで沙羅が言った時、二人の少年がほぼ同時に身動きする。
それに気付いて花音達が様子を窺っていると、彼等はゆっくりと目を開いていき、突然飛び起きた。
「黄兄さんっ!」
「黄兄!黄兄がっ・・・つ!」
二人して起き上がった所で、傷が痛んだのか動きを止める。それでも、また直ぐに動き出した二人に、花音は慌てて声を上げた。
「ち、ちょっと!」
「黄兄さんを助けないと・・・」
「黄兄だけじゃない。彼処にはまだ大勢の・・・」
花音の声が聞こえていないのか、扉へ向かおうとする二人の前に沙羅が立ち塞がり、ニコリと笑う。
「あなた達の気持ちはわかったわ。でも、今は駄目。ベッドに戻りなさい」
「そんな、早く・・・」
「戻りなさい」
繰り返し言う沙羅の笑みが深くなる。
それを見た二人は、何も言い返さず頷いていた。
少年が運んできた二人の幼い少年をベッドに寝かせる。そして、二人の容態を診ていた沙羅がふと動きを止めて、眉をしかめた。
「これは!!・・・朔耶、この子達は何処で?」
「街の北側の入り口に倒れてたんだ」
朔耶と呼ばれた少年がそう返す。
「・・・そう。間違いないわね」
「間違いないって、何が?」
「これを見て」
沙羅が二人の少年の首もとを指す。
花音と風夜がその部分を覗きこむと、そこには【O-16】と【R-17】と書かれたタグがついていた。
「これは?」
「・・・恐らく、この街の北にある研究所から逃げてきた子達ね。可哀想に。このタグがつけられているなら、もう実験に使われてしまった後なのね」
「実験?何の実験なんだ?」
「・・・合成実験・・・」
「えっ?」
「二つ以上の種族を掛け合わせて、別の種族を造りあげる。一人の研究者が始めた合成獣・・・キメラの実験よ。この二人は、その実験の被害者ね」
そこまで沙羅が言った時、二人の少年がほぼ同時に身動きする。
それに気付いて花音達が様子を窺っていると、彼等はゆっくりと目を開いていき、突然飛び起きた。
「黄兄さんっ!」
「黄兄!黄兄がっ・・・つ!」
二人して起き上がった所で、傷が痛んだのか動きを止める。それでも、また直ぐに動き出した二人に、花音は慌てて声を上げた。
「ち、ちょっと!」
「黄兄さんを助けないと・・・」
「黄兄だけじゃない。彼処にはまだ大勢の・・・」
花音の声が聞こえていないのか、扉へ向かおうとする二人の前に沙羅が立ち塞がり、ニコリと笑う。
「あなた達の気持ちはわかったわ。でも、今は駄目。ベッドに戻りなさい」
「そんな、早く・・・」
「戻りなさい」
繰り返し言う沙羅の笑みが深くなる。
それを見た二人は、何も言い返さず頷いていた。