光の少女Ⅲ【合成獣編】

「・・・どうやら、間に合わなかったみたいだな」

「白鬼は、逝ったのか?」

「・・・ああ」

「・・・つい先程」

「・・・そうか」


封魔に答えた白夜と鈴麗に、神蘭は目を伏せた。


「・・・ふ、流石に闘神五人では分が悪いな。此処は引き上げるか」


そう言った男が姿を消す。

それと同時に、それまで黙ってただ状況を見ていただけだった火焔も去ろうとしたが、それに気付いた風夜が動いた。

魔力の鎖を飛んでいこうとする飛竜の足へ巻き付け、力一杯引っ張る。


「ギャウッ!」

「ぐっ・・・」


それでバランスを崩した飛竜が地へ墜ち、乗っていた火焔も身体を叩き付けた。
叩き付けられた痛みからか、直ぐには動けないらしい火焔へ風夜が近付いていく。

そして、火焔の近くに落ちていた紙の束を拾い上げ、それを見ると同時に目を細めた。


「いててっ、何する・・・!?」


文句を言いかけた火焔の胸ぐらを、風夜が掴む。


「・・・一体、お前は何をしている?」

「何をって・・・」

「・・・この間、最後にあった時から思っていた。自分の国の兵を魔族にされた次は、キメラ実験にも使われる。それに対して、お前は何とも思わないのか?それとも、国を守れるなら、兵士を駒にしても構わないとでも思っているのか?」

「違う!そんな訳ないだろ!」

「違わないさ!・・・お前がとった実験のデータ、それをもとに奴等は実験を繰り返す。兵士達でな!そもそも、過去の実験にお前は反対したのか?」

「それは・・・」

「・・・してないんだろ?お前も、水蓮達も、陰の一族の奴等も、ただあいつらの言う通りに動いているだけだ」


そこまで言って、火焔を地に放り投げるように離すと、持っていた紙の束を彼に叩き付け、尻餅をついている火焔を見下ろした。
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