光の少女Ⅲ【合成獣編】
「さぁ、じゃあお互いに自己紹介しましょう」
二人がベッドに戻ったところで、沙羅がにこやかに笑って言う。
「先に二人からね」
笑みを向けられ、二人はコクリと頷いた。
「俺は、紅牙」
「僕は、蒼牙」
「ふふ。良くできました。私は、沙羅。それから、花音に風夜、朔耶、この小さいのが私の使い魔の瑠璃よ。それで」
花音達を簡単に紹介して、沙羅が笑みを消す。
「貴方達、二人は北の研究所から逃げてきた実験体・・・違う?」
「・・・そうだよ。黄兄さんが逃がしてくれたんだ」
「だから、俺達は助けを呼んでこようと思って・・・」
そこまで言って、紅牙と蒼牙は花音達を見た。
「お願いです!僕達に、力を貸して下さい!」
「・・・だそうだけど?」
「えぇっ!?」
蒼牙の言葉を流すようにして、聞いてきた沙羅に花音は声を上げる。
「だって、私はどちらでもいいもの。でも、あなた達は目的があって来たのだから、どうするかは二人が決めていいわよ」
その言葉に紅牙と蒼牙がすがるような視線を向けてきた。
「・・・まぁ、話を聞いたらほっとくわけにはいかないよな」
「そうだね。・・・うん、わかった。協力するよ」
風夜と顔を見合わせてそう返すと、紅牙と蒼牙は表情を明るくした。
「決まったみたいね。・・・瑠璃」
「はーい。じゃあ、ちょっと調べてくるから、待っててね」
沙羅が瑠璃を呼ぶと、彼女はそれだけで何を言おうとしたのかわかったらしく、開いていた窓から外へ出ていく。
「あれ?何処に行ったの?」
「北の研究所に偵察にね。情報なしに行くのは危険だから、私達は瑠璃が戻ってきてから行きましょうか」
その言葉に花音達は頷いた。