光の少女Ⅲ【合成獣編】

「皆・・・、すまないな」


森の中に建てた一つの墓標。それを見ながら、神蘭が言う。


「でも、何もない空のお墓って、何だか少し寂しいよね」


神蘭達と今まで行動していて、三人の指示でなのか森の中で待っていた風華が言う。


「仕方ないさ。俺達、神族は亡くなった時、世界へ還るんだ。何も残さずな」

「神族だけでなく、魔族もそれは同じね」


封魔に続いて、沙羅が言う。


「ところで、風夜の奴は何処に行ったんだ?」


未だに戻ってこない風夜を気にしているのか、夜天が聞いてくる。


「森の中にはいると思うんだけど・・・、私、探してくるね」

「ピィ、ピィィ!」


声を掛け、風夜を探しにいこうとすると、ついていくと言うように白亜が花音の肩に乗ってきた。

他の仲間達から離れ、風夜を探していた花音が彼を見付けたのは、探しはじめて数分後だった。


「風夜?」

「・・・花音か?どうした?」


大きな岩の上に座り、ぼんやりとしていたが、花音に気付いて、視線を向けてくる。


「どうしたっていうのは、此方の台詞だよ。何か考え事?」

「・・・ああ。ちょっと、火焔のことをな」

「火焔くんのこと?」


花音が聞き返すと、風夜は頷いてから、空を見上げた。

そのまま、ゆっくりと話しだした。
< 60 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop