光の少女Ⅲ【合成獣編】

第3章 迷い

1

「・・・・・・」


花音と風夜が話をしていた頃、風の国に戻ってきていた火焔は、誰に会うこともなく、与えられている部屋にいた。

ピリッとした痛みがたまにある首を鏡で確かめると、そこには一本の紅い線が走っていた。


(あの時のか・・・)


その部分に触れながら、風夜に剣を突き付けられた時のことを思い出す。


『もう一度、自分たちのしていることを考えてみるんだな』

『これ以上の醜態を晒すなら、その命、なくなると思え』


「・・・・・・」


言われた言葉を思いだしながら、火焔はベットに横になった。


(俺は、間違ってないはずだ。火の国を守るには、この方法しか・・・)


そう思いながら、視線を動かし、ふと棚の上に置いてあった宝珠に止まる。


「ん?」


いつもは鮮やかな紅い色をしているのに、今はくすんで見える。

気のせいではないかと思い、近付いてみたが、見間違いではなかった。


「これは、一体・・・」


そう呟いた時、部屋の扉が叩かれる音がした。
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