光の少女Ⅲ【合成獣編】
その頃、風の国では。


「・・・・・・」


窮姫が荒らされている部屋の中を見回していた。

異界から持ってきた筈の資料やこれまでとったデータがなくなっている。


「窮姫!やはり、あいついなくなってたぞ」

「今行ったら、本人も荷物もなかったわ。夜のうちに、抜け出したようよ」


入ってきた二人が口々に言い、窮姫は肩を震わせる。


「・・・ふふ、やってくれるじゃない?私達を出し抜くなんて」


呟いて、窮姫は歩き出す。

向かったのは、一つの牢だった。


「実験体068号、出番よ」


その声に、暗闇の中で紅い眼が鋭く光った。
< 70 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop