光の少女Ⅲ【合成獣編】
「ぐぅっ・・・」
あまりの衝撃に動けないらしい火焔に、068が近付いていくのを見て、朔耶と黄牙が声を上げる。
「おい!本当にいいのかよ!」
「あいつ、殺されるぞ!」
「いいわけ、ないよ!」
花音はそう叫んで、弓を構えた。
「火焔くんから、離れて!」
光の矢を068に向かって放つ。それは、彼の背中へと突き刺さり、068の意識が火焔から外れる。
その間に、倒れている火焔の身体に鎖のようなものが巻き付く。
そして、それに引っ張られるように火焔の身体が浮き、風夜の前で落ちたのがわかった。
火焔の身体に巻き付いていた鎖が消えると、風夜は068の前に進み出る。
「風夜?」
「・・・ぐ・・・、お前何を・・・」
「・・・怪我人は黙ってろ。ここからは、俺がやる!」
そう言い、風夜は一度目を閉じる。次に開けた時には、左目が紅くなっていた。
「ふん。選手交代という訳か。私の役目は、そいつの始末と資料の奪還。邪魔さえしなければ、今回は見逃してやるが」
「今回だけ見逃されても、嬉しくないな。それに、折角資料を持ち出してきたんだ。このまま、また持ち帰らせるわけにはいかないな」
言ったかと思うと、風夜の姿がその場から消える。
その直後、068の身体に鎖が巻き付いた。
「ぬうぅっ」
「つっ・・・!」
抵抗する068と背後にいる風夜の間で力が拮抗する。
それでも、次第に068の身体が引っ張られ、花音達から離れていった。