光の少女Ⅲ【合成獣編】

火焔のことを蒼牙達に任せた花音が、風夜と068の所へ来ると、ちょうど切り結んでいた二人がお互いに弾きあって、距離をとったところだった。


「風夜!」

「花音!?蒼牙達は?」

「まだ火焔くんが動くのは辛そうだから、ついてもらってる」


答えながら、風夜の身体を確認すると、所々に小さな傷はあったが、大きな傷はなく安堵する。

その時、風夜に肩を掴まれ、思いきり後ろに引かれ、ほぼ同時に彼の持つ剣に、068の鋭く尖らせた爪がぶつかった。

それを見て、花音は迷いなく弓を引く。

火焔から借りた力で作った火の矢は、068の左肩に突き刺さり、肩を焼いた。


「ぐっ!」


それに怯んだ隙に、風夜が蹴りを叩き込み、068の身体は後ろへ吹っ飛んだ。


(よし!)


それを見て、追撃しようと弓を構え直した花音の前で、068の身体が光りだす。

その光が消えた時、平然と体勢を立て直した068の姿を見て、花音は目を見開く。

先程与えたばかりの筈の肩の傷は、綺麗に消えていた。


「え?どうして?」

「くっ!またか!」

「ふふ、どうだ?度重なる実験の結果、私はこのような再生力を手に入れた。多少の傷を治すことなど、造作もない。そして、この力を使えば使うほど、私の身体は頑丈になっていくのだ」

(なら、今のうちに神蘭さん達に戻ってきてもらったほうがいいかも)


そう思い、神蘭から借りている水晶を出そうとする。

しかし、それに気付いた068の攻撃で落としてしまい、運が悪いことに068の方へ転がっていってしまった。
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