光の少女Ⅲ【合成獣編】
「・・・いや、前とは少し違うみたいだ」
そう言いつつ、風夜が視線を向けてくる。
それを受けて、花音は合成獣のデータを取り出した。
「それは?」
「火焔くんが持ってきてくれたの。合成獣実験のデータだよ」
神蘭がすぐに問い掛けてきて、答える。
「本物か?」
「ああ。その確認はしてある。間違いない」
「そうか。なら、その資料、貰ってもいいか?データがあるから、上に渡しておきたい」
「う、うん」
本物か偽物かの確認はしてあると言った黄牙に、少し考えて神蘭が言う。
花音もこのまま持っているよりもその方がいいと思い、神蘭に渡した。
「でもさ、花音ちゃん。資料は本物だとしても、信用しきって大丈夫なの?」
それまで黙っていた美咲が言う。
「確かに。今までのことを考えるとな」
光輝のその言葉を聞いて、火焔が自嘲するような笑みを浮かべる。
その時、火焔の身体を拘束するように何かが巻き付き、更に彼の後方にあった木へと縛り付けた。
「うぐっ!」
急なことに身構えていなかった火焔は、木に背を叩きつけられ、花音達はそれを唖然とした表情で見る。
「さてと、これならいいだろ。動けなければ、何も出来ないからな」
何が起きたのかと思っていると、風夜の声がする。
「力で逃れようとしても、拘束しているのは俺の力だ。火焔の力である火を使えば、自分の身を焼くことになる。だから、力を使って、脱出はできない。話が終わるまで、この状態なら問題ないだろう」
そう言った風夜は、どこか楽しそうだった。